今日は七夕、そしてコメットの日
函館では子供たちが、「たけ~に短冊七夕祭り~、おおいにいわおう~ろうそく一本ちょうだいな~」と歌いながら、近所の家々を回って「ろうそく」をもらう風習があります。昔はろうそくでしたが、今はお菓子。子供たちは一か月分はあろうかというお菓子を確保するため歌い、歩き、また歌います。
去年の七夕。
忘れられない七夕でした。コメットが悪性の乳房炎で亡くなった日。
コメットは私たちが初めて飼った牛でした。そして初めて死なせてしまった牛でもありました。目がまんまるの可愛い牛で、利口な牛。初めての出産も安産で、メスを続けて産み、とってもおいしいミルクを分けてくれました。楽しい思い出と、これからしてあげたかったたくさんの事や、予防できなかった後悔、大型動物の死に際と苦しんだであろうその死顔が、脳裏からしばらく離れませんでした。
「なぜ私たちは牛を飼っているんだろう」。
家畜を飼って、乳や肉を採り生業とする。正直その答えだけに納得ができなくなってしまいました。それから自問自答とコメットとの会話が始まりました。ソフトクリームを巻きながらほろほろ涙がこぼれる自分が情けない日々。
秋が近づき店もそろそろ閉店の時期がやってきた頃、突然問いかけられたのです。
「短い時間だったけれど全部意味があるの」
こやぎの丘ガーデンファームジャージー牧場は酪農教育ファームの認証を取得しました。食と命について考えてもらう場としての牧場です。円滑に受け入れて行くにはまだまだ準備が必要ですが、できる範囲から活動を始めて行きたいと思っています。
コメットの娘コスモが先月オスの子牛を産みました。オスはみんな「太郎くん」です。オスはミルクを出さないので普通、肥育専用の牧場に引き取られその後、肉となりますが、今、太郎くんは自分たちで肥育しようと思っています。
コメットとの対話は続いているのです。
いつもこの時期は夜空に天の川がきれいに流れる東畑町ですが、去年は星ひとつない暗い夜空でした。コメットが泣いていると思った夜。今年は雲間からちらほら星が見えています。
「また、おいでね。」
今日は七夕、コメットの日。

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